総務省近畿総合通信局(野津正明局長)は3月23日、平成24年度重点的施策を発表した。
平成24年度は、〝ICTで創る安心で元気な関西! ~東海・東南海・南海3連動地震等への備え~〟をスローガンに掲げ、『大地震・津波に強い情報通信インフラの構築』、『高度な電波利用の促進と良好な電波利用環境の整備』、『地上デジタル放送の受信環境整備と新たな放送の普及促進』、『ICT利活用の推進と安心・安全な利用環境の整備』の4項目を重点的に取り組む。
▼東日本大震災では、被災エリアが広範囲に及ぶとともに、従来の想定を越えた被害が発生した。このため、今後の東海・東南海・南海3連動地震などの発生に備え、情報通信インフラなどの耐災害性の強化や更なる防災情報伝達手段の多重化・多様化を促進。これらの最新情報伝達手段などを広く国民に情報提供し、円滑に利活用できるように周知・啓発を推進し、安心・安全な社会の実現を目指す。
《具体的取組み》
①電線共同溝等の導入促進②行政情報の遠隔地バックアップ機能(自治体クラウド)の普及促進③非常災害時におけるICT利活用に関する研究開発の促進④緊急速報メールの普及促進⑤公共情報共有基盤整備の普及促進⑥防災行政無線未整備自治体に対する整備の促進⑦防災行政無線のデジタル化の促進⑧消防・救急無線のデジタル化の促進⑨非常災害時に備えた情報伝達手段等に関する情報提供⑩防災情報通信セミナー等による周知啓発
▼電波利用については活気ある豊かな関西の実現に向け、ニーズに的確に対応した利便性に優れた高度な無線通信システムを促進するとともに、良好な電波利用環境の維持・整備に努める。
《具体的取組み》
①電波利用に関わるセミナーの開催②電子申請の利用推進③船舶の安全航行に関わる船舶共通通信システムの普及促進④携帯電話不感地域の解消の促進⑤700-900MHz帯の周波数再編MCAシステムの周波数移行および電子タグシステム(RFID)の周波数移行パーソナル無線の廃止⑥タクシー無線のデジタル化の推進⑦重要無線通信妨害への迅速な対応⑧特別電波監視の実施
⑨不法無線局の共同取締りの実施⑩不(違)法無線局対策の強化⑪「電波利用環境保護周知啓発強化期間」を中心とした周知・啓発の推進⑫「電波の安全性に関する説明会」の開催
▼地上デジタル放送については、暫定的に衛星放送を利用する対策を実施した地区に対しては、早期の恒久的な対策に取り組む。
《具体的取組み》
①新たな難視の解消②暫定的難視対策事業による受信世帯の恒久対策の実施③デジタル混信地区の解消④地デジ詐欺・悪質商法被害の防止⑤地デジ受信環境に対する適切な相談対応⑥V-Highマルチメディア放送等の普及促進⑦クリアな放送受信環境の整備・対策
▼新時代を創るマルチメディア放送などの普及を促進。ICTの利活用については、地域経済の活性化と生活の利便性の向上を図るとともに、誰もが安心・安全に利活用できる環境づくりを推進する。
《具体的取組み》
①フューチャースクール推進事業の推進②ICTを活用した街づくりの推進③「けいはんな情報通信オープンラボ」の利用促進④研究開発競争的資金(SCOPE)の活用⑤「e‐ネット安心講座」の拡充⑥近畿電気通信消費者支援連絡会による情報共有の促進⑦地域の消費生活センターとの連携強化
国土交通省は、京阪神都市圏における災害応急活動の核となる施設として整備を進めてきた堺泉北港堺2区(大阪府堺市堺区匠町3番2)の基幹的広域防災拠点を4月1日から供用開始すると発表した。
大都市部で大規模な災害が発生した際には、復旧活動の核となる基幹的防災拠点の必要性が阪神淡路大震災を機に認識され、国は平成20年2月に防災基本計画を改定した。国土交通省近畿地方整備局では、支援機能の面から同地区に基幹的防災拠点の整備を進め、このほど完了した。
同施設では、発生が危惧されている上町断層帯地震や東南海・南海地震などの大規模災害の際に、救援物資の中継基地や被災地支援隊のベースキャンプ、あるいはヘリコプターによる災害医療支援など重要な機能を担う。同施設の緑地スペースは、平常時には市民の憩いの広場としても利用される。
また、隣接する『グリーンフロント 堺』(シャープ工場)では、国土交通省から要請があった場合には敷地内の一時利用をはじめ、電気や水(雑用水)を供給する支援を行う。シャープは、昨年8月末に国土交通省と災害発災時の支援協力について防災協定を事前に締結しており、インフラ工事は3月末までに終了する予定。
シャープは14日、4月1日付で奥田隆司(おくだ・たかし)常務執行役員(海外事業統轄 兼 海外事業本部長)が新社長に昇格する人事を発表した。片山幹雄(54)社長は代表権のない会長に就き、町田勝彦(68)会長は相談役に退く。12年3月期(通期)が過去最大となる2900億円の連結最終赤字を計上する見通しとなったのを受け、経営トップを刷新することで業績回復を目指す。
同日の午後、大阪市北区のホテルで会見した片山社長は、「堺工場での投資総額は約4300億円となった。液晶テレビは、08年ごろまでは売上げや利益に貢献したが、結果的に大型投資が財務を圧迫している。現在の体制をクリアするために、事業構造改革が必要だ」と話した。
新社長に就任する奥田常務は、映像音響事業担当時代には液晶テレビ『アクオス』を世界的なブランドに育て、昨年からは海外事業本部長として超大型液晶テレビの海外販売などを担当している。同じ会見の席上、「これまでのビジネスモデルを変革し、社員一丸となって業績回復を目指したい」と述べ、「経営にとって一番重要なのはスピードアップ。今後は海外のウエートを拡大する」と語り、中長期の成長に向けた経営戦略についても早急に策定して、決算発表までに公表する意向を明らかにした。
同社では、テレビなどのデジタル家電が売上構成比で約7割を占めており、今後はデジタル家電偏重の事業構造からの脱却を図る。さらに独自性の高い商品を展開することで、デジタル家電事業の売上比率を5割以下に引き下げる方針だ。
奥田常務は、1953年8月19日生まれの58歳。奈良県出身。名古屋工業大学大学院を卒業後、1978年4月にシャープ入社。2001年6月、AVシステム事業本部映像機器事業部長を経て、2003年6月に取締役に就任した。同社によると、12人抜きの抜てきとなった。